わたしごとJAPAN

BUSINESS
東京都町田市
関東 にぎわい創出
うえだ ひろみ

上田 宏美さん

年代:
40代
出身地:
奈良県
所属:
わたしたちの月3万円ビジネス3期生
現在の仕事:
イベントコーディネーター

作り手の活躍の場を広げるために重要なのが、人と地域をつなぐコーディネーターの存在です。上田宏美さんは「月3万円ビジネス」の卒業後にマルシェ運営を手伝ったことがきっかけで、イベントコーディネーターとしての活動をスタート。立ち上げから関わった越谷市の「珈琲の日」は、初開催で来場者1万人を記録。「月3万円ビジネス」のメンバーでチームを組み、ウエディングパーティーも演出しました。幅広い人脈は、どのようにつちかわれたのでしょうか。

気がついたら、出かけたイベントの数が一年で100を超えていました。びっくりですよね。

遠征もするので、交通費だけで35万円。会社員時代の貯金です。素敵な出店者さんを見つけて、買い物をして、ご本人とお話をして。「今度こういうイベントに出店するんです」と教えてもらったら、そのイベントにも顔を出して。そうやってたくさんの作り手の方々と直接会った経験が、イベントコーディネーターの土台になっています。もともと私、非日常のものが好きだったんです。高校生のころ、深夜バスに乗って、奈良から東京へ憧れの雑貨屋さんに会いに行きました。そこに行かないと買えない、味わえないものにワクワクするんですよ。

結婚して出産のために会社を辞め、下の子どもが1歳になるころ、仕事がしたいなと思って働き方を模索し始めました。在宅ワークや短期の事務職、好きなことを探すために習い事やセミナーに参加したり。そんなときに「月3万円ビジネス」を知りました。やりたいことと自分のペースを大事にするスタイル、リスクのない小さな一歩から挑戦するという考え方が自分にフィットして、とてもワクワクしたのを覚えています。

しかし奮起して講座に参加したものの、同期のみんなが自分の小商いを行動に移していく中、私は企画したワークショップを直前で取りやめてしまいました。私と同じような、何か始めたいと思っているママたちが自分のやりたいこと見つけるためのワークショップだったんですけど、怖くなっちゃったんですよね。そもそも講師役の私が何も見つけられてないのに、ママたちに教えられることなんてあるんだろうか、と。事前に申し込んでくれた方には丁重にお詫びのご連絡をしました。でも、もしかして、チラシを見てふらっと会場に来る人がいるかもしれない。そう思って当日は一日中会場の前で座り込んでいました(笑)。

今思えば、無理やり形だけつくってしまったから自信が持てなかったんですね。それでも、私も何か始めたいという気持ちは変わらず残っていました。そこで講座を卒業した後、イベント運営のお手伝いをさせてほしいと申し出て、年4回開催している「しあわせすぎマルシェ」の運営メンバーになりました。最初はチラシの配布から。そのうち、マルシェの運営に携わるならもっとイベントのことを知っておかなくちゃと思い、首都圏を中心にさまざまなイベントを見に行くようになったんです。勢いがつき過ぎて、年間100回も出かけてしまいました(笑)

「好きなことを仕事に」と頭で考えていた時はあれほど煮詰まっていたのに、目の前のイベント運営のための行動が心から好きだったから自然と続いた。イベント当日は、ワクワク感が頂点に達します。アドレナリンが出て早朝に目が覚めるんです。よーし、今日はやるぞー!って。参加した人たちの楽しそうな顔を見るとうれしくなりますね。

結局、原点に帰ってきた感じです。ビジネスという枠組みを勝手に想像し、型にはまろうとしていた時期がうそのよう。イベントは人が街を好きになるきっかけになる。私は目の前にあることを精一杯やるだけです。今は気持ちよく前を向いて、自分は非日常を届けるんだ!って思えます。

取材・文:大吉紗央里